アナリストの郭明錤 (Ming-Chi Kuo)氏は、マスクが手放せなくなった昨今、Face IDによるロック解除しか方法がなかったiPhoneのフラグシップに、ディスプレイ下に配置されたTouch IDが登場するとリークしていました。
その後、Appleは一部のモデルのみですが、マスクをつけたままでもFace IDのロック解除や、Apple Pay認証を可能にしたアップデートをリリース、それを受けてクオ氏がリークした内容を撤回したことがありました。
これから先もフラグシップとなるiPhoneには、Touch IDの搭載はないと思われていたのですが、出願された特許には光センサーや、さまざまなセンサーを採用したアンダーディスプレイTouch IDについて書かれていたことを、海外情報メディアPatently Appleが公開しました。
光センサーを採用したアンダーディスプレイTouch ID
Appleが出願したTouch IDは、ディスプレイへの仕組みとディスプレイ下に配置される光センサーやTouch IDに必要な各パーツに関する詳細が記載されたものになります。実はAppleは、すでに2021年に別の方式による、ディスプレイ下に配置したTouch IDに関する特許を取得しています。
今回の出願したTouch IDは、多数のセンサーが列挙されていたそうで、その中には空中での動きを読み取る「空中ジェスチャー」に関する記述があったといいます。空中でのジェスチャーを読み取るセンサーを、ディスプレイ下に配置することでTouch IDも実現できることを示す内容となっているようです。
搭載されるセンサーには、光を放出したり検知したりする光センサーや、超音波を使ったセンサーなどが配置されることで、指紋センサーに直接触れなくても指紋を読み取るような仕組みが構築されます。他にも複数のセンサー同士の動作で、読み取りの正確性を向上させています。
ただ、指紋を読み取る部分は、光を通さなければならないため解像度が粗くなってしまうことは避けられないでしょう。これはアンダーディスプレイカメラと同じく、光を通すための仕組みで、現状ではこの方法でなければ、アンダーディスプレイカメラは実現していません。Appleは、この解像度が粗くなってしまう部分についても、新たな特許で解像度を損なわずに透過率を変化させる方法を考案し、特許出願に至ったようです。
Touch IDは必要かもしれない
AppleがリリースしたiOS15.4で、マスクをしていてもロック解除や同機能を使った認証が可能になりました。ですが、この機能が利用できるのはiPhone12とiPhone13のみで、それ以外のモデルではPINコードを利用した方法でしかロック解除することができません。
今後のモデルはFace IDのみでも問題ないのかもしれませんが、デザイン変更が加わることで機能しなくならないように、AppleはTouch IDの開発を諦めていなかったのかもしれません。
現時点ではPINコードとTouch ID、Face IDしかないiPhoneですが、新しいセキュリティ対応の認証方式が追加されていくかもしれません。ますます安全に利用できるiPhoneの今後に期待していきましょう。
Source&Photos:Patently Apple