2020年に初めて登場した5G対応iPhoneは、国内の5Gエリア拡大のきっかけになったといえるデバイスではないでしょうか。ここ最近、都内ではいつの間にかアンテナ表示部が5Gに変わる場所が多く、通信速度が気になってしまう人も少なくないでしょう。
早急なエリア整備が期待される5Gですが、航空機に関してはそう楽観視ができない状況になっているようです。
5G電波で航空機の遅延が発生
アメリカ連邦航空局は5Gで使われる一部の周波数帯域が、視界が悪い状況でも安全に航空機を着陸させるために使われる電波高度計と干渉するため、一部の空港では使わないように指示しました。
同局では視界が悪いときの着陸については、「電波高度計の精度を妨げる可能性があるため、フライトの迂回が発生するだろう」と説明しています。
VerizonとAT&Tは、干渉する周波数帯域の利用を2022年1月まで延期することに同意し、電波を送信する出力を下げるなど対策をしました。なお航空会社とCTIAは、干渉の影響に正当な理由がないことを示唆しているのですが、同局は納得できていないようです。
同局はアメリカ連邦通信委員会にもメールを送り、VerizonとAT&Tの行っている電力制限が安全面を十分ではないと伝えたのですが、特に影響があるとは思えないことを伝えたようです。
なお同局は緩和策か干渉しない対策ができない限り、制限を設けると海外情報メディアに伝えています。
そうなると5Gエリアが拡大しているエリアにある空港に着陸する際、視界が悪い場合はフライトのスケジュールが乱れたり、中止したりする可能性が出てきます。
実は5Gの周波数帯域と電波高度計は同じ帯域を利用しているわけではないのですが、近い帯域を利用しているため影響が出る可能性は否定できません。解決策としては高度計にフィルターを追加する方法があるようですが、航空無線技術委員会のような組織が5G電波と干渉しない高度計を認定し、航空機全台を改造しなくてはなりません。
干渉しない改善が完了するまでは、数年かかるようです。
国内でも問題になるのか
国内の4大キャリアが5Gエリアを急ピッチで拡大していますが、アメリカ連邦航空局が持った懸念が国内でも起こる可能性はあります。もしもの場合は、電波を管理している総務省が何かしらの対策を行うかもしれませんね。
Source:THE VERGE