iPhoneには、質の高い睡眠を提供するために、手動または自動でナイトシフトに切り替える機能が搭載されています。ナイトシフトモードがオンの時は、目に優しい暖色系の色合いになりブルーライトを軽減してくれる効果があると言われ続けてきました。
このナイトシフトに「効果なし」という調査結果を、アメリカのブリガムヤング大学が報告したのです。
ナイトシフトモードは睡眠の質に影響を与えない
誰もが心地よい眠りにつくためディスプレイの輝度や色合いを調整して、睡眠前にスマートフォンを利用しても入眠に影響を与えないのがナイトシフト機能ですが、ブリガムヤング大学はこの有効性について次のような調査を行いました。
ブリガムヤング大学の心理学教授のチャド・ジェンセンが、スマートフォンを毎日使用する18〜24歳の167人に対して、就寝前にナイトシフトをオンにしてスマートフォンを使ったグループと、ナイトシフトをオフにしたグループ、いっさいスマートフォンを使わなかったグループに分けて、総睡眠時間、睡眠の質、入眠後の覚醒や入眠にかかった時間を計測しました。
もしナイトシフトが世間一般でいわれているような睡眠の質が改善されるのであれば、ナイトシフトをオフにしたグループよりも良い結果が出て、就寝前にスマートフォンを使っていないグループよりは悪い結果となるはずです。
ですが、調査結果は3つのグループとも違いはなかったと、ジェンセン氏が述べています。このことからナイトシフトをオンにしてもオフにしても、就寝前にスマートフォンを利用しなかったとしても睡眠自体の質には影響を与えないことが判明したことになります。
2019年時点でわかっていたナイトシフトの効果
ブリガムヤング大学の調査結果は、2年前にマンチェスター大学が調査した結果と変わらず、むしろナイトシフトをオンにすることで睡眠パターンを悪化させる原因になりかねないと報告していました。
睡眠パターンの悪化についてティム・ブラウン氏は、光が薄暗い場合、「青は黄色よりもリラックスできる」とマウスを使った実験結果から、人間にも同じことが言えるだろうと述べています。つまりナイトシフトの暖色系の色は、薄暗い明かりの下ではリラックスできないことを意味しているのです。
このように効果があると思われていたナイトシフトは、睡眠に関しては全く影響を与えないか、むしろ睡眠のパターンを悪化させてしまうことがわかったのです。
ナイトシフトの効果
Appleの公式サイトにあるナイトシフトを確認すると、睡眠についてはいっさい記載されておらず、ディスプレイの色合いを目に優しい暖色系の色に切り替える機能であると説明されています。
眼精疲労などでピントがぼやけてしまうなど、自覚症状がある人にはナイトシフトが回復に向けた有効的な手段なのかもしれませんね。ただ、睡眠への効果がなかったことは、ちょっと残念な結果でした。